楽器ケースを開いてあの頃へ

 

楽器ケースを開くと懐かしい匂いがした。

 

03

 

なんの匂いだろう。

楽器ケース特有のあの匂いだ。

なかには“臭い”と表現する人もいるだろう。

金属とツバが時間をかけて生み出す、なんとも言えない絶妙なハーモニー。

「匂い(臭い)」と「記憶」はものすごく結びつきが深く、懐かしい匂いをかぐと、その匂いに関連した懐かしい記憶を思い出しやすい。

と、以前どこかで読んだことがある。

まさに青春フラッシュバック。

そして、ぼくはそんなハーモニー&ノスタルジーにひたる為だけに、こうしてわざわざ楽器ケースを開いたのではない。

 

02

 

今度、高校時代の同級生が結婚するので、結婚式の余興にみんなでサプライズ演奏しよう。

ということになり、久しくまともに吹いてなかったのも相まって、久しぶりに楽器ケースを開けるに至った訳で。

先日母校に出向いたのは紛れもなく余興の練習をするためで、卒業から10年経ってみんな変わったような、変わってないような、不思議な感慨にとらわれたまま今日(本番)を迎えたのでした。

 

05

 

サプライズとはいえ、呼ばれてもない結婚式に参加するという貴重な体験ができました。

みんなそれぞれに忙しく、練習は十分とも不十分ともいえない中、なんとか合わせて本番を乗り越えることに成功?

途中止まるかと思ったり、メロディーが全力疾走だったり、本番ならではのトラブルもあったけれど、こういうのも温かくていいな。

と、なんだかほっこり。

“変わらない”ことで得られる安心感もあるんだな。

と、ちょっとしんみり。

 

楽器ケースを開けばいつでもあの頃へ戻れる。

それはちょうど、タイムマシンみたいに。

 

04

 

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>